第3回目は、創業133年、「去華就実」の精神で
食品開発・製造に取り組む「宮島醤油株式会社」(唐津市)です。
理学博士で、代表取締役社長の宮島清一氏に聞きました。
会社は個々の幸せをつくる場
[二宮] パートを含む全社員643人のうち半数は女性です。正社員の男女比で見ると女性は20%ほどですが、係長や主任など役職への登用が進んでいます。育休(育児休業)後に会社復帰して、キャリアを継続する女性が増えたことが要因ですね。
―有休や育休を取りやすくするための工夫は?
[二宮] 年休以外に年間5日の個人休暇取得を義務化し、取得の有無をチェックしています。「自分がいないと会社が回らない」と休まない人もいましたが、義務化したことで、休みが取りやすくなり、休んだ人の分は他の社員がカバーするという理解が進んできたと思います。
男性には出産立ち会い休暇制度(2日間)があり、この一年で対象13人中9人が取得しました。男性の育児休業取得には、もう少し時間がかかりそうですね。
―働きやすい環境づくりで取り組んでいることは?
[二宮] 高度成長期の常識「家庭を顧みない」では、これからの競争社会を乗り越えていけません。会社は「幸せな人生をつくるための場所」と位置付け、男性の意識を駆けていく必要があります。そこで男性の世界だった営業部門に女性を配置しました。女性の視点が入ることで、働きやすい環境が生まれてくると考えています。
ロールモデルを育てる
―女性が活躍するために不十分な点は何ですか?
[二宮] 目標になる女性役員などのロールモデルが社内にいないことですね。そのため、みんなを引っ張っていくという意欲が不足しています。一方、女性の能力は高く、新商品の多くは女性のアイデアによるものです。これからも、機会を与えて、規範となる女性を育てていくのが、経営者の役割だと思います。
―今後、取り組みたいことは何でしょう?
[二宮] 仕事と生活の調和を図るために、個人や家庭の事情に応じて、きめ細かに相談に応じていきたいですね。夫の転勤で退職する女性もいますが、夫の職場の近くに妻も異動するなど、夫と妻のお互いの会社も解決策を出し合って、仕事を続けたい女性に配慮できればと思います。
また、他社、異業種の女性が、お互いの経験を語り合うのは、非常に有意義だと思います。行政あるいは商工会議所などがコミュニケーションの場をつくっていただけたらいいですね。