4回目は、1975年創業のプレス金型製作と部品加工メーカー
「聖徳ゼロテック株式会社」(佐賀市)です。
代表取締役社長の古賀鉄夫氏に聞きました。
休みやすい環境づくり
[古賀] 私は仕事優先で、子どもの学校行事や週末など家族と過ごす時間が少なく、子どもが成長する大切な過程に立ち会ってこなかったんです。でも、もうその時期は戻らない。孫ができてから、ことさら痛感しています。
ものづくりの世界で生きる勝負を私たちはやっていますが、仕事と休みはしっかり分けて考え、子どもが成長する瞬間にはぜひ立ち会ってほしいと思います。
[古賀] ものづくりの現場では納期厳守は信用の要ですから、「納期に間に合うように仕事をしてくれればいい」というのが基本的なスタンスです。納期と休みのバランスをとるために、従業員自身が仕事の段取りを工夫し、自主的に計画をするようになったと思います。また、タイムカードそばの掲示板には休暇申請書を張って、いつ、誰が休むのかを全員が分かるように情報を共有しています。お互いの意思疎通ができることが大変重要と思います。
ものづくりにも女性の力を
[古賀]女性事務員も単なる事務員ではなく、お客様からの要望を受けたら見積書まで作成して営業に引き継いだり、図面を読み、品質と精度のチェックができる営業・技術のスキルや判断力を磨いて、仕事の効率化を図っています。
スキルや判断力を育てるためには、まず現状を否定して、常に意識を高く持つことが肝心です。社内の改善は正常か異常かを判断させるために「赤札作戦」の展開と「なんでも提案書」を設けて、良い提案は即実施するなど自分たちで考える力を育んでいます。
[古賀] 当社の女性従業員は営業・技術が5人です。ものづくりは技術・伝承の世界ですから、その人の技術は唯一無二のもの。結婚、子育てでいったん離れても、仕事に復帰してほしいですね。技術だけでなく礼儀なども、後輩に伝授してもらいたい。そのために社員には気持ちよく働いてもらうことが経営者の務めだと思います。
ものづくりの世界は男性の職場という印象がありましたが、今はデジタル化が進んで、技術を身に付けたい人が男女問わず働くことができます。ものづくりの現場はもはや3Kではありません。行政には、ものづくりの現場をもっと女性に知ってもらうマッチングの場をつくってもらえたらと思います。