5回目は、「常在お客様貢献」を企業理念に創業131年目を迎える
老舗建設会社「松尾建設株式会社」(佐賀市)です。
代表取締役社長の松尾哲吾氏に聞きました。
もっと女性が活躍できる建設業へ
[松尾] 人手不足が深刻で、建設業従事者はピーク時に比べ約30%減の約500万人。また、高齢化が進み、約3割が50歳以上で、30歳以下は1割未満です。50歳以上が退職する10年後以降を見すえ、国も若者の雇用や外国人労働者の受け入れに力を入れていますが、やはり建設業界の発展には女性の力が必要不可欠と考えています。
[松尾] これまで建設業界は男性社会であり、職人の世界でしたから、女性は非常に入りにくかったと思います。その雰囲気を変えていこうと、当社では6年前、女性社員活躍を推進するために「ポジティブ・アクションの取組」を始めました。取組は4つで①職場風土の改善②女性の採用の拡大③女性の職域の拡大④女性の継続就業支援を行ってきました。現在女性は全社員の1割弱、50人です。
「けんせつ小町」のがんばりが建設業界の刺激に
[松尾] 女性は事務職系採用で、結婚退職が当たり前でしたが、今では結婚後も仕事を継続する女性が増えてきました。育児休業取得率も100%です。
技術職の採用が増え職域も拡大し、かつては男性だけだった設計部門も今では半数は女性を採用しています。設計で指名してもらうなど、がんばっている女性が評価されていることも嬉しい変化ですね。その結果、“男女の区別はない”と職場の意識も変わり、会社にもよい刺激になっていると思います。
[松尾] ホテルや医療福祉施設では多くの女性が働いているので、こうした建物の設計には、女性ならではの感覚やセンスなどが求められます。これまでは、3Kのイメージがあり、敬遠されがちでしたが、これからは、女性に選んでもらえる魅力ある建設業にしていくよう、経営者としても努力していきたいですね。日本建設業連合会でも、建設業で活躍する女性を「けんせつ小町」と呼び、女性の活躍を後押ししています。けんせつ小町が、同業他社と積極的に交流することで、建設業界に新風を起こしてくれるのではないかと大いに期待しています。